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日本ケベック学会(日本でのケベック・フランコフォニー等に関する学術研究・芸術文化交流を振興・推進する学会)の公式ブログ

フランコフォニー・シンポジウム(12/13)の開催趣旨

フランコフォニー・シンポジウムの開催趣旨(12/18)

「フランコフォニーを発見しよう」開催趣旨
立花英裕

 このシンポジムの開催趣旨は、三つあるかと思います。一つは、フランス語圏の国々についての理解を深めることです。
 フランス語が話されている国や地域は、日本に入ってくる情報から想像されるよりはるかに大きな広がりをもっています。世界でフランス語を公用語としている国は、32か国あります。この中にはフランス語が広く話されているにもかかわらず、公用語にはなっていない国は含まれていません。その代表的な国として、今回参加したアルジェリアがあります。そうした国や地域を加えると、更にフランコフォニーの世界は広がります。フランコフォニーという語は、先頭の文字Fを大文字でかくときと、小文字で書くときがあります。いま述べたような意味でのフランコフォニーは小文字で書きます。
 フランコフォニーの最初の文字Fが大文字になるとき、多くの場合、フランコフォニー国際機構を指します。この国際組織は、フランス語を共有し、かつ一定の価値観に賛同する国や地域が加盟しています。この組織の一つの特徴は、必ずしも国家でなくて、州や県、あるいは地域でも承認されれば加盟できることです。たとえば、このシンポジムに参加しているカナダのケベック州は、設立当初から参加しています。オブザーバーとして参加している地域もあります。2008年の時点で、フランコフォニー国際機構の加盟数は56の国と州を数えます。オブザーバーの数は14。今回のシンポジウムにルーマニアも参加している理由がこれで分かるでしょう。ルーマニアは、フランコフォニー国際機構の加盟国なのです。
 これらの国は、当然、国際連合の加盟国でもあります。日本がこれから世界の中でどのような役割を果たすべきかを考えたとき、また、国際的な場で広く信頼を得る国になるためには、フランコフォニー国際機構加盟国との交流を深めていくことが実はとても重要な課題になっています。
 このシンポジムの趣旨として、第二にあげたいことは言語の問題です。一般的には、19世紀から20世紀にかけて、言語は特定の民族や国家に結びつけて考えられがちでした。しかし、今日では、たとえば日本語でも、外国の人が日本語で小説を書き、それが読まれる時代になっています。フランス語の場合、この現象がはるかに早くから、また広範に進行しているわけです。このシンポジムでは、フランス語がフランスだけのものではないという認識を新たにしていきます。それは決してフランスを過少に評価することではありません。むしろ逆でしょう。フランス語は、ヨーロッパの、そしてまたアフリカやアメリカ大陸の他のフランコフォンの国や地域の言葉でもあるのです。フランス語は、そこでフランスとは違った展開を示しています。地域の社会や文化的状況と結びついて、フランス語は新たな生を生きているのです。
 このシンポジムを企画した三番目の理由は、いまのことと無関係ではありませんが、世界の多様性についての認識を深めていくことです。「多様性」とは、単に世界には様々な文化や民族があること、そして文化や民族の違いを尊重しなければならないということだけではありません。そこには、歴史や文明に関わる根本的な見方が含まれています。一言でいえば、19世紀以来の、あるいは啓蒙主義以来の進歩主義的歴史観が現在行き詰まっているという全般的な状況認識があります。より具体的にいえば、環境問題やエネルギーの枯渇の問題などに現れている、人類の量的な拡大の限界です。世界の多様性への認識を深めるとは、無限の拡大に向けて進んでいくような歴史観とは異なる道を探索することでもあるのです。少なくとも、私はそのように考えています。そして、その手がかりの一つとして、フランコフォニーの国々に関心をむけていこうということです。シンポジムには、10の国と地域が参加しますが、3つの大陸から聞こえてくる多様な声に耳を傾ける機会にしたいものです。

主催:日本におけるフランコフォニー推進会議
共催:日本ケベック学会(AJEQ)、日本フランス語教育学会(SJDF)、アルジェリア大使館、カナダ大使館、カメルーン大使館、ケベック州政府在日事務所、ジブティ共和国大使館、スイス大使館、ハイチ大使館、フランス大使館、ブルキナファソ大使館、ルーマニア大使館

フランコフォニー・シンポジウムの詳細や写真は以下を参照:
AJEQブログ:http://ajeq.blog26.fc2.com/blog-entry-21.html
AJEQ資料集:http://ajeq.blog.so-net.ne.jp/2009-12-13
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