アンドレ・ジラール氏特別講演報告 アンドレ・ジラール氏はまずケベックにおける俳句の受容の歴史を1922年から現在までたどっていった。フェリックス・アントワーヌ・サヴァールやアルフォンソ・ピシェなどの名前があげられ、ケベックの作家や詩人と俳句とのつながりも浮き彫りにされていった。講演の後半ではアンドレ・デュエム氏との共著Marcher le silenceの一部がジラール氏自身によって解説とともに朗読された。また最後にaméricanitéやamérindianitéと俳句との関係に言及されたのが大変興味深かった。その後活発な質疑応答がなされ、講演は予定時間を10分オーバーして終了した。(司会・寺家村博)
ガブリエル・ロワ生誕100周年記念企画 カナダを代表する作家ガブリエル・ロワ生誕100周年を記念して、三本の研究発表が行われた。韓国ケベック学会からも二名の研究者が参加してくれた。まず、LEE Ji-soon (Sungkyunkwan大学)教授が Le rapport mère-fille dans les écrits autobiographiques de Gabrielle Roy et Pak Wans と題する発表を、次に、OH Jung-Sook教授(Kyung Hee大学)が L’art du récit d' enfance dans La Détresse et l’enchantement de Gabrielle Roy と題する発表を行った。どちらもロワ作品における自伝的要素の重要性について論じたものであった。最後に、本年ケベックの女性作家に関する研究を出版した山出裕子会員(お茶の水女子大学)が L'influence des œuvres de Gabrielle Roy sur la littérature québécoise contemporaine と題する発表を行い、ロワ作品と現代女性作家との関係を論じた。いずれの発表も興味深いもので、その後、会場を交えて、活発な質疑応答がなされた。(司会・小畑精和)