日本ケベック学会(日本でのケベック・フランコフォニー等に関する学術研究・芸術文化交流を振興・推進する学会)の公式ブログ

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AJEQ研究会報告(7月6日)シャロン代表と小松会員の発表

AJEQ研究会報告(7月6日)シャロン代表と小松会員の発表:(7/13)

日時:2013年7月6日(土)14:00~16:15
会場:立教大学 池袋キャンパス 本館(1号館)2階 1201教室
以下は小松祐子理事による研究会報告

第1部 14:00~15:00 dialogue informel avec M. Claude-Yves Charron autour du theme “Quarante ans de relations Quebec-Japon : Quelques enjeux, contraintes et perspectives de developpement”

 シャロン・ケベック州政府在日事務所代表の任期満了にともなう帰国を前に、AJEQ会員との意見交換会が開かれた。州政府在日事務所開設40周年という節目を迎え、日ケ関係の課題や今後の展望を考えることを目的とした会となった。小畑AJEQ顧問が対話者を務めた。
 シャロン代表からはまずケベックのイメージとして思いつくものを3つ挙げてほしいという提案があり、参加者全員が3つずつを挙げることから会がはじまった。日本からケベックへの関心は文化的側面や人間関係に由来するものが強いことが確認された。一方、シャロン代表によるケベック側からの日本のイメージとしては、1)品質へのこだわり、2)宮崎駿監督をはじめとするアニメ作品、3)日本人の忍耐強さが挙げられた。実際、現代のケベックの若者は日本のアニメ文化などに関心を寄せ、日本語学習者が増えている。日本人の忍耐強さについては、3.11以降にメディアで創られたイメージが大きい。日ケは互いに尊敬の念をもちつつ、将来に開かれた関係が築かれていることが確認された。
 任期中にはシルク・ド・ソレイユの日本撤退という残念な出来事があった一方、大規模なフレデリック・バック展が開催され、87歳のバック氏が来日したという嬉しい出来事もあり、両者には文化産業とアーティストの仕事との対比を感じさせられたとのことである。
 AJEQの将来についても、いくつかの貴重な助言をくださった。まず、日ケの大学間協定は30件を超えていることから、協定校の研究者へAJEQ参加をよびかけてはいかがかという提案があった。また日ケの共同研究(共同論文執筆)が少ない現状があるので、今後の発展が望まれる、それにより国際組織(AIEQ)などの資金を得やすくなるのではないか、とのことであった。
 若き日に黒澤監督の『羅生門』をご覧になって以来、その世界観に打たれ日本通となられたシャロン氏は、今後も末永く日本との良好な関係を続けたいとのことである。
 
第2部 15:15~16:15 
報告タイトル:「ベルギーの言語状況と言語教育政策、およびケベックとの比較のためのいくつかのポイントについて」 
報告者:小松祐子会員(筑波大学) 
コメンテーター:矢頭典枝会員(神田外語大学)

 今年度のAJEQ全国大会(10月12日於関西学院大学)でベルギー研究会共催のワークショップが開催されることから、その準備としてベルギーの言語状況を確認し、ケベックと比較するための基本的事項を整理することを目指した研究会となった。
 まず、オランダ語系フランデレンとフランス語系ワロンとのあいだの言語的対立が続くベルギーの状況を歴史的に概観した後、両者の言語習得状況、言語教育政策について各種資料をもとに紹介があった。1830年の建国以来、多数派であるにもかかわらず言語的抑圧状態にあったオランダ語系住民は、19世紀後半以降ナショナリズム運動を通じて次第に言語権を獲得し、さまざまな言語法により地域別一言語主義が整備されてきた。1993年には憲法改正によりついに連邦制国家へと移行した。しかし現在もオランダ語系住民とフランス語系住民とのあいだには、互いの言語の習得率に大きな違いが見られ、オランダ語系住民の不満の元となっている。フランス語系住民はオランダ語をほとんど学ばず、学習目標はむしろ英語に向かっている。他方、オランダ語系住民においても近年英語重視の傾向が強まってはいるものの、フランス語習得率は高い。この違いは歴史的な両言語の力関係の反映であり、現行の教育制度の不備も指摘される。
ベルギーとケベックを社会言語学的観点から比較する場合には、ベルギー連邦内のフランデレンとカナダ連邦内のケベックの相違が検討されることとなる。両者には過去の言語的抑圧状態、言語文化的ナショナリズムの高まり、二言語主義から地域別一言語主義への移行などに共通点が見出せるが、母語の国際的地位、地域言語変種(方言)に対する態度、他言語に対する態度などに違いがある。
 コメンテーターの矢頭会員からは、複数の公用語が設定される国における言語計画の類型として、「領土性の原理」(国内に二つのユニリンガル地区設定→それぞれの言語で行政サービス)をとるベルギー、「個人の原理」(国内どこでも両公用語で行政サービス)による南アフリカ、それらの折衷型(基本的には「領土性の原理」、各ユニリンガル地区内の公用語少数派が集中する地区において「個人の原理」)であるカナダとの違いが示された。

研究会の写真:以下の資料集ブログを参照ください。
http://ajeq.blog.so-net.ne.jp/2013-07-13
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国際フランコフォニー学会(CIÉF) 世界大会参加報告:小倉会長

国際フランコフォニー学会(CIÉF) 世界大会参加報告:小倉会長(7/10)

2013年6月9日から16日まで、インド洋に浮かぶ島国モーリシャス共和国のグラン・ベで国際フランコフォニー学会(CIÉF)第27回世界大会が開かれた。AJEQ会員からは、小畑精和、鳥羽美鈴、廣松勲、小倉和子の4名が参加した。例年の大会よりは小規模だったとはいえ、40カ国から200名以上の研究者たちが集まり、7日間にわたって50以上のセッションが開催された。
モーリシャス島といえば、18世紀、この島が「フランス島」と呼ばれていた時代にベルナルダン・ド・サンピエールによって書かれた『ポールとヴィルジニー』を思い起こす人も少なくないだろう。また19世紀には、20歳のボードレールがインド行きを試みるが、船が途中で嵐に遭ったため、すでにイギリス領となっていたこの島に立ち寄ったあとフランスに引き返してしまった、というエピソードも思い出される。さらに、モーリシャスはなんといっても、ノーベル賞作家ル・クレジオのゆかりの地である(彼は今もフランスとモーリシャスの二重国籍を有している)。島は1968年に独立国となるが、イギリス領だった時代もイギリス人はあまり住みつかなかったらしく、今でも公用語の英語より、クレオール語やフランス語のほうが流暢な住民が多い。
27回目にして初めて南半球で開催された今回の大会のメインテーマは、 « Karay de l'inter/transculturel : heurts et bonheurs »。Karayとはモーリシャス・クレオール語で「鋳物の鍋」を意味し、「るつぼ」の比喩として用いられるそうだ。移民文学、フランス語圏各地域の文学・文化、女性作家、映画、紀行文学、言語学、フランス語教育など、この学会の定番メニューに加えて、今回は土地柄ル・クレジオやインターカルチュラリズムに関するセッションが散見され、モーリシャス、マダガスカル、レユニオンなどインド洋の作家や芸術家たちを交えたラウンド・テーブルなども多かった。
南半球は冬とはいえ、滞在期間中は初夏のようなさわやかさだった。サトウキビ畑が広がる島は、東京都くらいの面積しかないが、歴史的経緯もあってじつに多様な人種の人々が多様な言語と宗教・文化を維持しながら穏やかに暮らしているという印象を受けた。古くから交易の中継地だった島では、今回のメインテーマにもあるように、人々は日々インター/トランスカルチュラリズムを実践して暮らしている。それはときに衝突(heurts)も引き起こすが、幸福(bonheurs)をもたらすものでもあることを経験的に知っているようだった。
当初参加予定だった長谷川秀樹はやむを得ぬ事情により不参加となったが、その他4名のAJEQ会員が参加したセッションと発表タイトルは以下の通り。ケベック在住の研究者や韓国ケベック学会との共催セッションも多く、学術交流を深めることができた。詳細は学会誌5号の「海外学会報告」をごらんいただきたい。

6月9日 « Enseigner la Francophonie : innovations, technologie, stratégies I»
--Misuzu TOBA, Université Kwansei-Gakuin, « Le français dans la diversité : réfléchir sur la francophonie »
6月12日 « L’Insularité dans la littérature »
--Yoshikazu OBATA, Université Meiji, « Imagination insulaire de la littérature québécoise »
6月14日 « Théorie interculturelles et transculturelles »
--Isao HIROMATSU, Société japonaise pour la promotion de la science, « Émile Ollivier : transmission de la mémoire et mémoire de la transmission »
同 « Mémoire culturelle et approches comparatives »
--Kazuko OGURA, Université Rikkyo « Dérive et mémoire chez Dany Laferrière et Matsuo Bashô »
大会プログラムはこちら。
http://cief.org/congres/2013/programmeprovisoire.pdf
(小畑精和・鳥羽美鈴・廣松勲・小倉和子)
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